哈羅,大家好! DJ b.p.m.f です。
今日は馬念先 Mars Ma《台北紐約 Taipei New York》を紹介します。
二都物語
台湾シティポップの先駆けである馬念先さんが選んだテーマは、台北・紐約 (ニューヨーク)。
先日、東京と台北のコラボについて紹介しましたが、今回は台北とニューヨークです。
この歌の魅力は、主人公の優柔不断・孤独・生活力のなさです。
はじめから酷い言い様ですが、後で伏線を回収するので、最後までお聞きください。
歌詞を見てみましょう。
不知不覺習慣一個人走進咖啡店 望著來來往往的行人 我知道你不會出現 下班了的台北 清晨的紐約 我獨自走完這條街
いつものように不知不覺 (無意識に) 一個人 (一人で) カフェに入って、行き交う人を眺めているけれど、君が現れないことは知道 (分かっている)。
下班了的台北 清晨的紐約
獨自 (独りで) 通りを最後まで歩く
君が現れないことが「分かっている」のに、フラフラっとカフェに、しかも習慣化しているようです。
カフェに入るのも、家に帰るのも「一人」です。
終究還是回到一個人的房間 多了一點倦意 還有幾封無聊的信件 午夜的台北 忙碌的紐約 (略) 清晨的光線 透過薄紗的窗簾 凌亂的桌面上有一杯隔夜的咖啡 沒有你的台北 不屬於我的紐約
たどり着いた一個人的 (一人の) 部屋
だるさを感じる 還有幾封無聊的信件 (開けてもいない手紙)
午夜的台北 忙碌的紐約
早朝の日差しがレースのカーテン越しに差し込み
凌亂的桌面上有一杯隔夜的咖啡 (散らかったテーブルの上には昨夜の飲み残しのコーヒー)
沒有你的台北 不屬於我的紐約
部屋に戻って来ましたが、「一人」の部屋です。
手紙が届いても放ったらかし。(複数形「幾封」なので、1通・2通ではないものと思われます)
翌朝になり、太陽の光が、部屋の散らかり具合や飲み残しのコーヒーを照らし出してしまいました。
不想再為妳夜夜失眠 卻又拋不開對妳的思念 不想再為誰掉眼淚 卻又忍不住紅了雙眼 不想再看到妳的照片 腦海中卻浮現妳的臉
サビの部分です。
君を想って寝付けなくなるなんて嫌卻 (だけど)、君のことを考えてしまう
誰かの為に泣きたくない卻 (けれど)、目が赤くなってしまう
君の写真をもう見たくない卻 (けれど)、頭には君の顔が浮かんでしまう
意思が弱く、優柔不断です。
きっと性格が優しいのでしょうね。
君に未練タラタラで、ぼっちキャラ、だらしない生活を送り、優しい性格な僕。
世界中から天下を狙う野望を持った魑魅魍魎が集まる国際都市ニューヨークでやっていけるのか、心配になって来ました。
君は一体どこにいるんだ!?
この歌の中には、台北とニューヨークが3回出て来ます。
下班了的台北 清晨的紐約
午夜的台北 忙碌的紐約
沒有你的台北 不屬於我的紐約
下班了的 (仕事が終わった) 台北、清晨的 (夜明けの) ニューヨーク
台北とニューヨークの時差は13時間なので、台北の夕方=ニューヨークの夜明け。
午夜的 (夜の) 台北、忙碌的 (忙しない) ニューヨーク
台北の夜=ニューヨークの朝ですが、ニューヨークは世界有数の国際都市なので一日中24時間忙しいとも言えますね。この二都市の関係はイコールともイコールでないとも言えます。
沒有你的 (君がいない) 台北、不屬於我的 (僕のものにはならない) ニューヨーク
台北・ニューヨークとも首都であり大都市で何百万人という人が住んでいる街なのに、君と僕がいない、または感じられない都市。
つまり、台北・ニューヨークともに主人公のいない世界、空の器のように同列に歌われています。
「不屬於我的紐約」からは、僕がニューヨークにいながら現地に馴染んでいない (君のことばかりを想い、ニューヨークのコミュニティに自ら進んで入って行かない?) ことが感じられます。
「沒有你的台北」からは、「君は台北にいない」という事しか分かりません。
もしかすると、君もニューヨークにいるのかも知れませんが、「我知道你不會出現」なので、可能性は低そうです。
いずれにせよ、ここでは台北とニューヨークを比較した場合、イコールの関係性に見受けられます。
ニューヨークに対する強い憧れや、出身地である?台北への帰郷の念というウェットな情景は一切描かれず、君も僕も感じられない無機質な生活空間のような印象を受けました。
以上のように、歌詞だけを見てみると、優柔不断なダメ男の生活力のなさや周囲への無関心が目に余ってしまうのですが、楽曲がブルースなコード進行とジャジーなオケに見事仕上がっているため、曲として聴くと、目で見るダメ男ストーリーを珠玉のポップスに昇華していることが分かります。
歌詞の中では存在感のない台北・ニューヨークが、歌の中では I LOVE TP, I LOVE NY にしか聞こえないです。馬念先さんの狙い通りでしょうか。
コーヒーを飲みながら聞いてみて下さい。
歌詞だけで見る世界とは全く異なった舞台に引き込まれることでしょう。
それでは、また次回お会いしましょう!
不知不覺習慣一個人走進咖啡店 望著來來往往的行人 我知道你不會出現 下班了的台北 清晨的紐約 我獨自走完這條街 終究還是回到一個人的房間 多了一點倦意 還有幾封無聊的信件 午夜的台北 忙碌的紐約 不想再為妳夜夜失眠 卻又拋不開對妳的思念 閉上了眼 妳總在我夢裡出現 不想再為誰掉眼淚 卻又忍不住紅了雙眼 清晨的光線 透過薄紗的窗簾 凌亂的桌面上有一杯隔夜的咖啡 沒有你的台北 不屬於我的紐約 或許時間能帶走一切 不想再為妳夜夜失眠 卻又拋不開對你的思念 閉上了眼 妳總在我夢裡出現 不想再看到妳的照片 腦海中卻浮現妳的臉 不想再為誰掉眼淚 卻又忍不住紅了雙眼